・伊勢和蝋燭(わろうそく)について
伊勢で暮らして十年の月日が過ぎました。
この地で暮らすようになって、私の中で大きく変化したことがあります。
それは、
日々の暮らしの中に祈りが溶け込んだこと。
伊勢神宮の神事は、自然の循環とともに二千年以上続いています。
朝がきて、日が昇り、風が吹き、雨が降り、また新しい命が芽吹く。
その当たり前の巡りの中に、祈りが息づいていることを、伊勢での暮らしは教えてくれました。
和ろうそくもまた、自然の循環の中に生まれた灯りです。
櫨の実から採れる櫨蝋。
和紙やいぐさという植物素材。
すべてが自然の恵みからできており、
燃えたあとは灰となり、土へと還っていきます。
その姿は、
神宮で日々行われている神事と同じだと、ある時ふと氣づきました。
生まれ、灯り、役目を終え、還る。
和ろうそくの炎は、
自然の循環そのものを静かに映し出しているように感じています。
・櫨蝋(はぜろう)
櫨蝋は、櫨の実から採れる植物性の蝋。
自然の恵みから生まれます。
・昔ながらの手がけ製法
芯に何度も蝋を塗り重ね、乾かし、また塗り重ねる。
時間と手間をかけて、少しずつ育てて完成する灯りです。
・洋ろうそくとの違い
洋ろうそくは石油由来のパラフィンが主原料。
炎のかたちや大きさ、揺らぎも、まったく異なる個性を持っています。
・炎が大きくゆらぐ理由
和紙にいぐさの髄をまきつけた芯が空洞構造になっているため、空氣を取り込み炎を大きく揺らします。
その揺らぎが心を穏やかにし、呼吸はいつの間にか深くなっています。
伝統の灯りに、
今を生きる私たちの祈りを重ねて。
にじいろの和蝋燭
・植物顔料の和蝋燭
植物のいのちを映したやわらかな灯り。
花や葉、枝から分けてもらった色をそのまま蝋に写し込みました。
炎が揺れるたび、自然のぬくもりがそっと広がります。
・鉱石の和蝋燭
石の記憶を宿した 祈りの灯り。
ほんのり色づく蝋に水晶や黒曜石の静かな力を込めました。
炎が揺れるたび、空間はやさしく澄んでいきます。